三井物産の金融子会社と「内なる銀行」の役割

主な金融子会社とその業務内容

おっと、まずは三井物産の金融子会社ってぇのをご紹介しやすよ。三井物産はただの物の売り買いだけじゃござんせん。商売の裏で金融の 腕（うで） も振るってる粋な大店(おおだな)でさぁ。主だった金融子会社を幾つか挙げると、次の通りでござんす：

三井物産フィナンシャルサービス（Mitsui & Co. Financial Services）: 世界各地に展開する金融子会社の総称で、米国・アジア・欧州・豪州などに拠点を持ちやす。この子会社群は三井物産本体やグループ企業向けに資金を工面したり貸付を行ったりして、いわば社内銀行のような働きをしておりやす。例えば米国法人のMFS USA（Mitsui & Co. Financial Services (U.S.A.) Inc.）は、現地で化学品や穀物などグループ事業に必要な資金を融通し、親分である三井物産の米州での商売を金融面で下支えしているんでさぁ。
三井物産オルタナティブインベストメンツ（Mitsui & Co. Alternative Investments, 略称MAI）: 2001年に設立された、オルタナティブ投資（ヘッジファンド、不動産ファンド、インフラ投資など実物資産や非伝統的資産への投資）専門の資産運用会社でござんす。プロの 目利き とネットワークで海外のファンドにも投資し、投資助言やファンド組成を行うのが商売で、一種の投資番頭ってところでさぁ。近年、大和証券グループやかんぽ生命と資本提携し、この会社を通じて個人・機関投資家向けにオルタナティブ資産の商品提供を強化しているんですって。
三井物産デジタル・アセットマネジメント（MDM）: こちらはデジタル証券など新手の資産運用サービス「ALTERNA（オルタナ）」を提供する2019年設立の子会社でござんす。不動産・インフラなど安定資産をデジタル証券化して、小粋にスマホから投資できるようにするという仕組みで、三井物産グループのオンライン資産運用ビジネスを担っています。伝法な言い方をすりゃ、時代に合わせて 金融の火事場 に飛び込んだチャレンジ精神の表れでさぁ。
三井物産フィナンシャルマネジメント（MFM）: こいつぁ三井物産100%出資の内部金融の専門店で、グループ全体の経理・財務機能を預かるプロフェッショナルカンパニーでござんす。帳簿付けから資金繰り、外国為替の事務まで請け負っていて、陰日向から三井物産グループのビジネスを支えておりやす。いわば縁の下の力持ち、内部銀行の勘定方（かんじょうがた）でございましょう。
ブッサンオートファイナンス（BAF）: 東南アジアで展開している販売金融会社で、これは三井物産がヤマハ発動機などと組んでインドネシアで始めたものでさぁ。オートバイや家電を 月賦（げっぷ） ＝ローンで買えるようにしちまう事業で、庶民の暮らしを豊かにするのが看板ですって。タイやインドにも広がって、商品の販売金融（ファイナンス付き販売）の代表例となっております。つまり、お客さんに銭を貸して商品を売る、一石二鳥の商売ってわけでござんす。
三井物産クレジットコンサルティング: こちらは商社流の与信・信用リスク管理のノウハウを生かして、企業向けにコンサルやソリューション提供をする子会社でござんす。三井物産が長年培った目利き（リスク見極め）の術を他社にも提供することで、取引先の信用調査や債権管理をサポートしているんですな。まさに信用という看板を商売に変えたユニークな会社で、リスク管理の助言から研修までやってのけるそうで、これも金融機能を活かした稼業のひとつでござんす。

他にも、商品デリバティブ取引を扱う三井物産フューチャーズや、不動産リート事業への参画など、金融にまつわる子会社・事業はいろいろとありやすが、代表的なところは以上でございましょう。

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金融子会社が本業にもたらす貢献

「商社の金融子会社は何のためにあるのかい？」ってお客人もいるかもしれやせん。へへ、これがなきゃ三井物産の総合力は語れねぇってもんですよ。いくつか重要な貢献ポイントを申し上げやすと：

資金調達と事業投資の下支え: 三井物産は世界中で山ほどビジネスを仕掛けておりやすが、その元手となる資金の手当ても一筋縄じゃいきやせん。金融子会社は社内外から資金を調達し（例えばJBIC〔国際協力銀行〕と協調して巨額融資を引っ張ってきたり）、グループ会社に融通することで、本業の事業投資を陰から支えておりやす。要するに、でっかいプロジェクトでも金の工面で尻込みしねぇよう、自前の金融部隊が懐（ふところ）を温めてくれてるんでさぁ。
ファイナンス付き営業の強み: 総合商社の得意芸の一つが、モノを売る時にお金の段取りも一緒に付ける芸当でござんす。三井物産はこの芸を存分に活かしとりましてな、例えば先述のBAFのように新興国のお客に分割払いで製品を買わせてあげたり、大型設備を輸出する際にローンを組んであげたりするんですわ。買い手や売り手が直面する資金不足や決済リスクを、商社が肩代わりしてやることで取引を円滑に進めるわけで、これで商売の裾をぐっと広げられるって寸法でござんす。金融子会社はその実行部隊、「金貸しもできる八百屋」として商機を逃さねぇ役割を果たしているんでさぁ。
リスク管理と金融ソリューション提供: 商売にゃ付き物のリスク（相手が払えねぇとか、相場が変動するとか）も、三井物産の金融チームにかかりゃお手の物でござんす。例えばクレジットコンサルの子会社は、取引先の信用リスク評価を手伝って 未然に貸し倒れを防ぐ よう指南してくれやす。また、商品先物取引会社を持ってヘッジ取引を自前でやれるお陰で、資源価格や為替の変動からグループ事業を守ることもできる。三井物産の社内にはリスクマネジメントの専門家も多勢おりまして、長期視点の市場分析で安心して取引できる環境を提供しているんです。これら金融機能があるお陰で、三井物産はでっかい荒波相手の商売でも舟がひっくり返りにくいってわけでさぁ。
投資戦略・資産運用: 商社は近年 「事業投資家」 としての顔も強めておりやす。三井物産オルタナティブインベストメンツ（MAI）のような運用子会社は、社有資金をヘッジファンドや不動産ファンドに投じてリターンを狙うだけでなく、外部からの資金も預かって運用ビジネスを拡大しています。これにより金融収益を得てポートフォリオ全体の安定化を図る戦略で、資源価格の浮き沈みに左右されない “もう一つの稼ぎ柱” を育てているんでございますよ。さらにこの運用ノウハウは、本業のM&A案件の評価や新規事業の価値算定にも役立っており、数字に強い金融マンが社内にいることで勝負どころを見誤らないようにしているんでさぁ。
M&A・大型案件での金融組成: 巨額の買収やプロジェクト案件ともなれば、資金調達の段取り（プロジェクトファイナンス組成など）が肝でござんす。三井物産では社内に金融の手練れが控えているので、銀行団との交渉からスキームづくりまで抜かりなくやれる。場合によっちゃ自分も出資したりメザニンローン突っ込んだりと、血も汗も流す覚悟で案件にコミットできるんですな。これは金融機能を備えた総合商社ならではの強みで、本体事業に対する潤滑油として金融子会社がフル回転しているわけでござんす。

こうした色とりどりの金融の貢献により、三井物産は 「総合力で勝負」 と洒落込んでいるんです。資金繰りからリスクヘッジまで自前で面倒を見ることで、どんな商売の荒馬だって乗りこなすってぇわけでさぁ。

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総合商社が銀行機能を持つに至った背景

では、なんでまた商社が銀行まがいの真似事を始めるようになったのか、その因果（いんが）をひも解いてみやしょう。これには歴史と時代の流れが深く関わっておりやす。

江戸の昔から商人てぇのは、金貸しと問屋を兼業するようなところがありやした。三井家だって江戸時代に両替商（金融業）も営んでおりましたし、明治になってから三井銀行を興した経緯もあります。つまり 「商いと金融は表裏一体」 ってのが商社のDNAに刷り込まれているんですな。

しかし本格的に総合商社が自前の金融機能を強めたのは、やはり バブル崩壊後の激動期 からでござんす。1990年代、日本の銀行が不良債権問題でヒーヒー言ってた頃、商社はと言やぁ自分らの存在意義を問われる「商社不要論」にさらされておりました。資源投資はボラティリティが高ぇし、仲介貿易も伸び悩み、稼ぎ頭を増やさにゃ生き残れねぇ局面に立たされたわけでさぁ。そこで各社は財務体質を強化しつつ、新規分野への進出を図った。その一環が非資源分野の強化、中でも金融ビジネスへの注力でござんす。

1990年代後半には日本版金融ビッグバンといって金融自由化の波が押し寄せ、証券だの保険だのの垣根も低くなりやした。これを 「渡りに船」 とばかり、商社は持ち前のネットワークと情報力で金融分野に乗り出したんですわ。ちょうど時を同じくして、営業組織として 「金融部門」 を立ち上げる総合商社も現れました。要するに、金融を単なる社内サポートではなく一つの事業として位置付け始めたんでさぁ。この頃から商社の金融ビジネスとしては、プロジェクト投資への融資、リース事業、果ては不動産リートの運用なんてことまで手掛けるようになったのでござんす。

また 「ファイナンス付き営業」 の必要性も一段と高まった背景があります。海外のインフラ輸出なんざぁ、モノを売るだけじゃ話がまとまりゃしませんやね。相手国の借款やプロジェクトファイナンスをまるっとコーディネートしてやって初めて受注に漕ぎ着ける。そこで商社自ら金融の知見を蓄え、銀行団との橋渡しや資金アレンジに腕を振るうようになったんですわ。言ってみりゃ、「ウチを使えばカネも付いてくるぜ」って看板を掲げることで、商売の幅を広げていったのでござんす。

さらに21世紀に入ると、IT革命や金融テクノロジーの進歩もあって、商社はフィンテック分野にも興味を示し始めやした。三井物産の例で言えば、暗号資産のジパングコイン（純金に連動するデジタル通貨）を発行したり、デジタル証券サービス「ALTERNA」を立ち上げたり、と従来の銀行も尻込みしそうな先端金融に果敢に挑んでおります。これは 「商社が銀行になる」 ってより、「商社は商社のまま金融も制する」という新境地でしょうな。こうした歴史の積み重ねを経て、今や総合商社は銀行顔負けの金融機能を内包するに至ったというわけでさぁ。

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他社との比較と三井物産の特徴

さて、三井物産の金融戦略について、他の総合商社と見比べてみやしょうか。五大商社（三菱商事・三井物産・住友商事・伊藤忠商事・丸紅）のいずれも、多かれ少なかれ金融分野に手を伸ばしちゃいるんですが、その流儀にはちょいとした違いがありやす。

江戸っ子の気風を受け継ぐ三井物産は、堅実かつ革新的な金融戦略で鳴らしておりやす。例えば、2001年にMAIを設立してオルタナ投資に踏み込んだのは三井が先鞭をつけた領域で、他社に先んじて代替資産運用のノウハウを蓄積した点は大きな特徴でござんす。近年もデジタル資産や暗号資産への取り組みで目立っており、これは他の商社にはなかなか真似できねぇ粋な試みでしょう。三井物産の金融子会社群は、自社のみならず外部顧客相手にもサービス提供するビジネス（例：与信コンサルやデジタル証券）を展開していて、金融機能そのものを収益源に育てようって腹づもりが見て取れやす。

他方、三菱商事なんかはメガバンク（三菱UFJ銀行）をグループに抱えている強みを活かし、リース会社や不動産ファンド運用会社との提携が目立ちますな。例えばJ-REIT市場では三菱商事系が大きな存在感を持っていたり、ローソンなど流通分野で金融サービスを組み込むなど、身内の銀行と二人三脚で進めるスタイルです。住友商事も同様にSMBC（日系メガバンク）と近しい間柄で、住友系のリース会社やクレジットカード事業にかかわったりしておりやす。もっとも住友商事自身もプラント輸出の金融スキーム作りに長けていて、インフラ案件のファイナンスでは存在感を示しているようでさぁ。

伊藤忠商事となると、これまた独特でござんす。伊藤忠は中国のCITICグループに出資して金融事業に食い込んだり、国内では保険会社への資本参加などもやってきました。加えて流通・消費分野に強い伊藤忠は、ファミリーマートや通販事業で金融サービス（決済やローン）を付加する動きが盛んで、生活者金融に明るいという特徴がありやす。丸紅はというと、資源分野でのヘッジ取引や、かつては海外で銀行買収を検討した歴史なんかもありましたが、近年は電力・プラント案件のプロジェクトファイナンス組成や航空機リース事業など、実務派金融に強みを持っている印象です。

これらと比べると、三井物産は 「オールラウンドかつ先進志向」 とでも申しましょうかね。伝統的なトレード金融から最新のデジタル金融まで守備範囲が広く、その分 稼ぎの裾野 も広ござんす。加えて、「人の三井」と謳われるように人材力にも定評がありまして、金融プロ人材を社内に多数抱えているのも特色でさぁ。経理・財務の専門会社MFMで社内の基盤をガッチリ固め、MAIやMDMで攻めの金融ビジネスも展開する――この硬軟織り交ぜた布陣は三井物産ならではでしょう。

海外に目を転じると、実のところ日本の総合商社ほど多機能な商売人は他に類を見やせん。取引の資金繰りやリスクを肩代わりする 「商社金融」 の役割は、日本発祥のビジネスモデルの妙味なんでございますよ。強いて近い存在を探すなら、世界のコモディティトレーダー（グレンコアやビトルなど）が自前でトレード金融部門を持っていたり、米GEのような産業企業が金融子会社を持っていた例がありますが、三井物産のように金融と商事の融合度が高い企業は稀でしょうな。グローバルでも「Mitsui & Co.はトレーディングと投資と金融の三位一体モデルだ」と評価されることも多いとか。

まとめて申せば、三井物産に代表される総合商社は、商いの現場力に金融の知恵と度胸を上乗せした存在でござんす。金融子会社たちは表に出しゃしませんが、実は縁の下で でっかい黒子 を務めており、本体の戦略遂行に欠かせぬ 切り札 となっております。で示される通り、資金調達から貿易金融まで様々な金融機能を提供できる強みが、商社ビジネスの競争力をぐっと高めているんでさぁ。そして三井物産は、その金融機能を持ち前のネットワークと合わせ技で磨き上げ、時代の荒波をものともせず 「粋でいなせな総合力」 を発揮しているってわけでござんす。